早乙女姉妹は漫画のためなら!?第49話を読んで感動した

かつて偉大な先人の発明には、瞳の中の描き込みや水滴に反射する風景などに女性器を隠し込む手腕があった。

 

ジャンプ+で連載中のお色気コメディ、早乙女姉妹は漫画のためなら!?(以下“早乙女姉妹”とする)では、鍵穴、長音符、葉脈などのモチーフを女性器に、ボタンをアナル、紐のほつれたフサを陰毛に見立て、それらを介して読み手がそこに存在するものを浮かび上がらせることができるような手法を駆使していたが、なんらかの問題があったのか、いつしかアプリ版では「白塗り」され、ウェブ上では限られた時間帯のみ無修正の作品が公開されることとなった。

 

連載開始から過激な表現は加速し続け、さまざまな方法で「修正」を躱しては「画面ほぼ真っ白に修正」されるなどし、一時期はアプリ版からは抹消されたかと思われた早乙女姉妹。そしてついに白塗り修正に用いられる「謎の光」これを早乙女姉妹は“演出”へと昇華させるに至ったのである。

 

登場人物には、内面が女性、肉体が男性のキャラクターがいる。彼(彼女)が今日のテーマの根幹である。

彼は社会的な性別に合わせた服装で生活をしていたが、ある人物にその内面を見抜かれ、夕方の、外の光が優しく射しこむ部屋で、「あなたがあなたらしくいられる格好をしなさい」と啓示される。そのとき、それまで描写されていた彼の乳首に一筋の光が被り、彼の乳首は「白塗り修正」され隠される。

アプリ版の規約では「男性の乳首」は描写可能であり、「女性の裸」は隠される対象である。そこを演出に取り入れた。彼が「自分らしく」、つまり「女である」ことを認めたことによって、彼は彼女へと変貌し、その乳首は「規制されるべき女の乳首」となったのである。

 

修正を逆手に取り、ただ一筋の光で、1人の人間の生き方の変化を描き切ったのである。漫画表現に、不可能なことなどないのだ。 ぼくはこの早乙女姉妹第49話で、漫画の可能性の未来は無限に続くことを実感し、感動した。ぼくはこれからも、漫画を読む。ありがとう早乙女姉妹。