RPG、性格悪いな〜と思った話

知り合いの子供が小学校一年生のとき、生まれて初めて自力で独学でロールプレイングゲームをやり始めたんだけど早々に詰んだそうで、

にっちもさっちもいかない、どうしたらいいのかというので話を聞いてみると、CPUに話しかけたり

マップの探索なんかの、そういう「お約束」は一切していないという。

初めてだとわからないものなのかとその時は驚いて、町の人に話しかけてヒントを貰う、家探ししてアイテムを貰う、というRPGをやる上で自分が「当たり前」だと思っていたことを伝えて

それでその子は大変驚いて、「やってみるよ」と話したがそれきり会っていないので、そのあとのことはわからない。

ただ「初めてだと単純にわからないんだなあ」なんて漠然とした感想が記憶に残っていたのだけど、自分が最近またRPGの新作をやり始めて、

その記憶が「そういうことか!」と厚みを持った感覚へと変わっていった、という話。

 

なんやかんやあって冒険に身を投じることになる。とりあえず言われるまま進む。不意に操作が出来なくなる。ムービー。イベントである。

町の人が慌てて話していることには、町の中央広場で問題が起きているらしい。主人公に、すぐに広場に行けと言う。

さあここで、冒険者が取るべき行動。RPGのプレイヤーとなった人が取るべき行動。

RPGのプレイヤーとなった私は、「広場」に背を向けて走り出す。「広場」に入ったらイベントが始まってしまうので。ここに戻れる保証はない。CPUのセリフに変化が起きるかもしれない。そう思いながら探索を開始する。

「広場」に近づけば踵を返し、くまなく歩き、落ちているものを漁り、他人の家に上がり込み、漁り、1人残らず話しかけ、満足してから、ゆうゆうと「広場」へ向かうのだ。

初めてのRPGをプレイした彼は、「急いで広場に行け」と言われれば、まっすぐ「広場」へ向かう。話は聞くが、自分から通行人に話しかけたりはしない。当然だ。いまこの世に生きる一般的な小学生として、至極まっとうな行動だった。

その点に思い至り、「あ、RPGって指示を無視しつつ全員に話しかける、コミュニケーションの取り方が現実をうまく生きる方法と対極なんだなあ」と気づいたのだった。

 

で、RPG、性格悪いな!? と思ったので。なるほどな〜 という気づきとともに書いておく。おわり。